ゴールドマン・サックスCEO、AIで10年後に従業員数を増やす見通し
ゴールドマン・サックスのデビッド・ソロモンCEOは、AIの導入が今後10年間で従業員数の増加につながると予測した。イタリアで開かれた会議でブルームバーグのトム・マッケンジー氏と対談し、AIが人件費の削減ではなく、企業の拡大と雇用の増加をもたらす可能性を強調した。ソロモン氏は42年前に銀行業界に入った頃を振り返り、「5社の取引を比較するには図書館へ行き、マイクロフィルムを調べ、何時間もかけて分析していた」と語り、今ではスマートフォンに話しかけるだけで済むようになったと述べた。このようにAIは、従来の作業プロセスを劇的に変革している。 同社は今年、約60億ドルをテクノロジー分野に投資しており、ソロモン氏は「もっと使いたい」と語り、資金のさらなる増加を望んでいる。彼によれば、ゴールドマン・サックスの価値は「人材、資本、テクノロジー」の三つの柱に支えられている。AIの導入により、優秀な人材がより良い情報を得て、高度な分析を実施できるようになると説明した。 特に注目すべきは、従業員数の増加という展望だ。ソロモン氏は「10年後にはより大きな企業運営が可能になる」とし、AIによって業務効率が向上すれば、より多くの顧客に対応できるようになり、新たな人材の採用も進むと予想した。現在、同社は約4万6000人の従業員を抱え、そのうち約1万2000人がマルコ・アルゲンティCIOのもとで技術開発に従事している。 AIの効果はソフトウェア開発分野で顕著だ。同社はCognition Labsの「Devin」といったAIツールと提携し、1人の優秀なエンジニアが従来の10〜20人分の開発作業を効率的に行えるようになっている。また、今年夏には全従業員向けに社内AIアシスタントを導入した。 一方で、AIブームがバブル化する可能性についても言及。ソロモン氏は「最終的には勝者と敗者が生まれる」とし、投資の一部は高いリターンをもたらすが、他は失敗する可能性があると指摘。人々の期待が高まる中で、リスクを軽視する傾向があると警鐘を鳴らした。