OpenAI、GPT-5直前で技術陣に数千万ドル級一時賞与を支給
OpenAIはGPT-5の発表直前、一部の研究者およびソフトウェアエンジニアに対し、史上初となる「特別一時賞金」を支給した。CEOのサム・アルトマン氏は、社内チャットツールのSlackで「市場の動向を踏まえ、技術チームの報酬を見直す必要がある」とし、応用エンジニアリング、スケーリング、セーフティ部門に所属する一部の社員を対象に、一時的な特別報酬を発表した。同氏は「今後も成果に応じて報酬を引き上げていく」とし、今回の措置は「これまでにない新しい試み」であると説明した。また、社員たちが「AGI(汎用人工知能)の構築」に貢献したことに感謝を示した。 支給額は役職や経験年数によって異なり、最も優れた研究者には数百万ドル規模の報酬が支給される見込み。エンジニア層は平均で数十万ドルの報酬が予想される。支払いは今後2年間にわたり四半期ごとに行われ、現金、OpenAI株式、または両者の組み合わせで選択可能。対象は約1,000人、全従業員の約3分の1に相当する。 この報酬措置は、AI人材を巡る激しい競争を反映している。近年、MetaはChatGPTの開発者であるシェンジア・チョウらを引き抜き、CEOのマーク・ザッカーバーグの「人材獲得攻勢」は、OpenAI側から「家宅侵入」とまで形容されるほど。また、Elon MuskのxAIや、元CTOのミラ・ムラティが設立した「Thinking Machines」も、OpenAIのトップ人材を積極的に誘致している。 一方、全員に報酬を支給しなかったことから、参加していない社員の間で不満が生じるリスクも指摘される。しかし、GPT-5の発表を祝って、アルトマン氏は社員とともにサンフランシスコのスポーツバーで祝賀会を開き、前向きな雰囲気を醸し出していた。 また、競合企業のAnthropicは打撃を受けた。開発者ツール「Cursor」がGPT-5をデフォルトモデルに採用し、自社のClaudeモデルを置き換えたことで、同社の収益基盤に影響が生じたとみられる。これを受け、Anthropicはコード生成性能を強化したClaudeの更新を急いで発表した。 GPT-5の早期アクセスは、マスコミや一般の記者ではなく、一部の独立ライターとAIインフルエンサーに限定されており、NDA(秘密保持契約)のもとで提供された。その中でも、Every、Simon Willison、Ethan Mollickらの評価が注目されている。