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中国科学院がAI活用の新手法で日冕物质抛射を自動三维再構成

5日前

中国科学院国家空間科学センターの沈芳研究チームは、日冕物質放出(CME)の自動3次元再構成に向けた新手法を提案した。CMEは太陽から放出される大規模なプラズマ塊であり、太陽系最大規模のエネルギー放出現象であり、災害性空間天気の主な原因となる。地球に到達した場合、通信衛星や電力網に深刻な被害をもたらすため、その伝播過程と動力学的特徴の解明は、空間物理および空間天気予報の重要な課題である。 本研究では、二方向の日冕計観測データと機械学習技術を統合し、CMEの自動3次元再構成を実現した。具体的には、畳み込みニューラルネットワークによる特徴抽出、主成分分析、最大類間分散法を用いて、二方向画像からCMEの位置を高精度で特定。その後、CMEの2次元投影画像とモデル画像の類似度を評価する目的関数を構築。この目的関数の最適化問題を差分進化アルゴリズムで解き、最適なCMEの3次元パラメータを算出する。 この手法により、97件のCME事例を自動的に再構成し、CMEデータセットを構築。統計解析の結果、従来の2次元観測から得られるパラメータには投影効果による誤差が生じる可能性があることが明らかになった。一方、本手法による再構成は、観測画像と高い整合性を示し、3次元構造の再現精度が優れていることが確認された。 特に、従来の手動による特徴対応やパラメータ調整を不要とし、完全自動化されたプロセスが実現した点が大きな特徴である。この技術は、CMEの惑星間伝播シミュレーションの初期条件設定や到達時刻予測に迅速に活用可能。今後は、太陽極軌道やL5点など、多方向観測が可能な衛星データとの統合も期待され、CME観測の多角化と予報精度の向上に貢献する。 研究成果は『天体物理学報増刊』(The Astrophysical Journal Supplemental Series)に掲載され、国家自然科学基金および国家重点研発計画の支援を受けて実施された。

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