AI、開発者のコード品質とモチベーション向上に寄与するも生産性は限定的
アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)のパートナー、マーティン・カサド氏は、AIが開発者の生産性を劇的に向上させているわけではないが、コードの質と開発者の士気の向上という2つの問題を解決していると語った。カサド氏は、自身が関わる企業の多くがAIコードツール「Cursor」を使っていると述べたが、開発速度の向上はそれほど見られないとした。インフラ関連の企業では、AIが核心的な設計決定を担うことは難しいため、難しい課題は依然として難しく残っていると指摘した。 一方で、AIはテストの作成やドキュメントの生成、コードの整頓といった繰り返し作業を自動化し、開発プロセスをより堅牢で保守性の高いものにすることが可能だと語った。また、AIツールはコード作業を再び楽しくさせているとし、特に長年開発に携わってきたプログラマーにとっては、コードを書くことが再び魅力的になったと語った。 一方で、一部の技術リーダーはAIコードツールの影響について懸念を示している。Surge AIのCEOエドウィン・チェン氏は、AIにより「100倍のエンジニア」が登場し、単一の個人が1000万ドル以上の収益を上げるスタートアップが現れ始めていると語った。一方、GitHubのCEOトーマス・ドームケ氏は、AIツールがベテランエンジニアにとって逆に作業を遅くしている可能性があると指摘。自然言語でフィードバックを与える必要がある場合、プログラミング言語で直接実行できる作業よりも時間がかかると述べた。 また、OpenAIの共同創業者グレッグ・ブロックマン氏も、AIツールの使用が開発者に退屈な作業を押し付けると語っている。AIがコードを生成しても、人間がレビューとデプロイを行う必要があり、これは「全く面白くない」作業だとした。 カサド氏は、AIが開発者の士気を高め、コード品質を改善する点では大きな効果があると強調している。しかし、開発速度の劇的な向上は期待できないとしながらも、AIの活用はソフトウェア開発の新たな可能性を示していると結論付けた。