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元々は小さな研究室だったが、NVIDIAを4兆ドル企業に導いたその裏側

4日前

2009年、ビル・ダリー氏がNvidiaの研究部門に加わった当時、そのチームはわずか10数人で、主にコンピュータグラフィックスのレイトレーシング技術に注力していた。ダリー氏はスタンフォード大学で教授を務める中、2003年からNvidiaのコンサルタントとして関わり、退任を機にサバイバルを計画していたが、当時の研究責任者デイビッド・キーアとCEOのジェンセン・ホアンが「本格的な就任」を熱烈に勧めた。ダリー氏は「自分の才能と関心に最も合った場所」と語り、Nvidiaに移籍。研究部門の統括を任され、レイトレーシングから回路設計やVLSI(大規模集積回路)といった分野へと拡大を開始。 Nvidiaは2010年からAI用GPUの開発に本格的に取り組み、当時はまだ注目されていなかった分野を先取り。ダリー氏は「AIは世界を変える」と語り、ホアンCEOと共にGPUの専門化とソフトウェア基盤の構築を推進。これにより、後のAIブームにおけるNvidiaの市場リーダー地位が確立された。 現在、NvidiaはAIデータセンターに加え、物理AIとロボティクス分野へも進出。ダリー氏は「ロボットの『脳』をつくる」というビジョンを掲げ、研究部門の新たな挑戦を推進。2018年に加入したAI研究部上級副社長のサンジャ・フィドラー氏は、MIT時代からロボットのシミュレーション研究を進めており、ホアンCEOの「私と一緒に働いてください」という呼びかけに応じてNvidiaへ。彼女はトロントに「Omniverse」研究拠点を立ち上げ、3Dデータの生成技術「Differentiable Rendering」を開発。2021年には画像から3Dモデルを生成する「GANverse3D」、2022年には動画から3D空間を再構築する「Neural Reconstruction Engine」を発表。これらはCES2024で発表された「Cosmos」シリーズ世界モデルの基盤となった。 現在は、リアルタイム処理速度の向上に注力。ロボットは現実より100倍速く世界を認識できるため、モデルの高速化が鍵。SIGGRAPH2024では合成データ生成向けの新AIモデルやロボット開発用のライブラリを発表。しかし、ダリー氏とフィドラー氏は「人型ロボットの家庭導入は数年先」と冷静に見据え、AIの進化とデータ量の増加が段階的に課題を解決していくと強調。Nvidiaの研究部門は、一歩先の未来を切り拓く、技術的基盤の構築を続ける。

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