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生成AIで分子合成経路を推論する新フレームワークReaSynが登場、薬物発見の課題を解決

1ヶ月前

ナビデューアイ(NVIDIA)が開発した生成型AIモデル「ReaSyn」が、分子合成経路の予測に革新をもたらしている。薬品や材料開発において、分子が設計されたとしても、実際に合成できるかどうかが鍵となる。ReaSynは、この課題に応えるため、大規模言語モデル(LLM)の「連鎖的思考(Chain of Thought, CoT)」を化学分野に応用した新アプローチを採用している。その特徴は、合成経路を「反応の連鎖(Chain of Reaction, CoR)」として表現し、各ステップで反応物・反応ルール・生成物を明示的に記述すること。この記述法により、モデルは化学者が段階的に考えるプロセスを再現可能となり、途中の段階でのフィードバックも可能になる。 ReaSynは自己回帰型生成モデルとして動作し、シンプルな分子(ビルディングブロック)から出発し、反応を繰り返して目標分子へと段階的に合成経路を構築する。これにより、実際に合成が困難な分子でも、類似する合成可能なアナログを生成できる「合成可能性への投影」が可能になる。さらに、生成過程で強化学習(RL)とテスト時探索(test-time search)を活用。特に、結果に基づく報酬(GRPO)を用いたRLファインチューニングにより、複数の合成経路を探索し、最終的な分子の類似度を最大化する方向へと学習を促進している。 実験結果では、ReaSynは既存手法と比較して、反応経路予測の成功率を大幅に向上。特にEnamineやChEMBLなどのデータセットで、76.8%の成功を達成。また、分子最適化タスクでは、既存手法を上回る性能を発揮。さらに、ヒット化合物の周辺にある合成可能なアナログを探索する「合成可能性のヒット拡張」にも有効で、創薬開発における候補分子の探索を大幅に加速できる。 ReaSynは、生成AIが「理論上の分子」ではなく「実際の合成が可能な分子」を創出できるようにする画期的なツールであり、AIによる創薬の実用化に大きく貢献すると期待されている。詳細はarXiv論文およびGitHubのコードで公開されている。

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