Scale AI、元幹部と競合企業を相手に不正情報取得で訴訟
AIデータラベリング企業のScale AIが、元幹部とその新 employer である競合企業・Mercorを相手に、企業スパイ行為を巡る訴訟を提起した。この訴訟は、AI業界の激しい競争が続く中で、知的財産の保護がますます重要になっていることを浮き彫りにしている。 訴状によると、Scale AIの前エンゲージメントマネージャーであるEugene Ling氏が、同社の顧客管理戦略や機密文書100件以上を不正に持ち出し、退職直前にMercorのCEOと面談した翌日に大量にダウンロードしていた。また、Ling氏はまだScaleに所属していた際に、重要な顧客をMercorへ誘致しようとする動きを見せ、同顧客の社員に対し「新しい会社が貴社をサポートできる」と発言。その後、顧客側がMercorの存在を確認すると、Ling氏は「すでにMercorと連携していますか?」と応じ、電話での話し合いを計画したとされる。さらに、複数のScale社員に対してもMercorへの移籍を勧誘していたという。 Scale AIは、訴訟を通じて、訴訟費用と損害賠償の支払いを求めるほか、Mercorが同社の機密情報を使用することを禁じ、すべての文書の返還を求める。同社スポークスパーソンのJoe Osborne氏は、「Scaleのリーダーシップは、独自のアイデアとイノベーション、実行力に支えられている。誰もがビジネスを損なう不正な手段を取ることを許さない」と声明を発表した。 この訴訟は、AI業界の激しい人材争奪戦と、技術・戦略情報の流出リスクが高まっている現状を反映している。先日もElon MuskのxAIが元エンジニアのXuechen Li氏を訴えており、同氏が会社の機密情報を個人デバイスに転送し、OpenAIへの移籍を果たしたとされている。こうした動きは、AI開発の「軍拡競争」が極限まで高まっている証左である。