米国作家らが提起したAI学習による著作権侵害を巡る集団訴訟で、アンソニックが和解に至った。
人工知能(AI)企業のアンソニック(Anthropic)は、米国の大手著者グループが提起した集団訴訟について、2024年8月20日に連邦裁判所に提出した法廷文書で和解を発表した。この訴訟は、同社がAIモデル「Claude」の学習に使用したデータセットに違法に配布された書籍が含まれていたとして、著作権侵害を主張するものだった。原告はアンドレア・バーツ、チャールズ・グレイバー、キーア・ウォレス・ジョンソンらの著者たちで、2023年秋に「Bartz v. Anthropic」として訴訟を提起。彼らは、アンソニックがオープンソースのデータセットを用いて、数百万冊の著作物を「ナプスター式のダウンロード」と同様に無断で収集・利用したと主張した。 この訴訟の背景には、AI企業が大量の書籍を学習データとして利用する際の著作権問題が深く関係している。2024年6月、サンフランシスコの連邦裁判所で判決が出た際、アンソニックは一時的な勝利を収めた。裁判官ウィリアム・アルサップは、合法的に購入した書籍をAIモデルの学習に使用することは「公正利用(fair use)」に該当すると判断。この判決は、生成AIの技術的正当性を支持する重要な前例とされた。しかし、同判決は「著作物が違法に配布されたものである場合、その利用は著作権侵害に当たる可能性がある」とも明言し、後続の訴訟の余地を残した。 その後、7月に同裁判所は原告らの集団訴訟を認め、アンソニックが違法なデータ収集を行ったと判断。これにより、同社は2024年12月に裁判に臨むことになり、損害賠償額は数億ドルから1兆ドルを超える可能性も指摘されていた。この緊迫した状況の中、アンソニックは和解を選び、9月3日に和解が正式に承認される予定とされている。 和解の詳細は公表されていないが、原告側の弁護士であるジャスティン・ネルソン氏は、「この歴史的な和解は、すべての集団メンバーに利益をもたらす」と述べ、今後数週間以内に詳細を発表すると予告している。アンソニックはコメントを控えているが、当初の判決を評価し、AI開発における著作権の境界についての法的枠組みの整備が進むことを期待しているとみられる。 この和解は、AI企業とクリエイター間の著作権問題の解決に向けた重要な一歩とされ、今後のAI開発におけるデータ利用のルール形成に大きな影響を与える可能性がある。