AIがブラウザへ進化:ChatGPT AgentとCometが示す新時代
AIがブラウザへと移行する理由 AI研究者たちのジョブチェンジはNBAの移籍市場のような盛り上がりをみせています。特に今注目されているのが、チャットボットからウェブブラウザへとAIの機能がシフトしている傾向です。これはなぜでしょうか?理由は簡単です:現代のAIチャットボットはユーザーのオンライン生活(電子メールや銀行アカウントなど)にアクセスできませんが、ブラウザであればそういったコンテクストを提供できます。これにより、AIが実際にユーザーの代わりにタスクを遂行するツールとなる可能性が高まります。 最近の製品リリースを見ると、OpenAIの「ChatGPT Agent」がシンプルなブラウザを活用してウェブを検索する機能を備えていますが、ロギドインサイトへのアクセスはまだありません。一方、Perplexityが開発したデスクトップ向けブラウザ「Comet」は、大規模言語モデル(LLM)に対してログイン済みのサイトへのアクセスとタスク完成を可能にする一歩前進した製品です。しかし、これらは信頼性が低く、利用には高いサブスクリプション費用が必要で、実際の経験でも製品が自称する機能を完全に果たしていない場合がしばしば見られます。 例えば、ChatGPT Agentは読み込み専用で、特定のウェブサイトにログインしてタスクを完成させることはできません。実際、私の同僚Hayden FieldがEtsy上で特定のライトを見つけようとした際、ChatGPT Agentは50分後に応答し、商品をカートに入れるという задача(タスク)を完了したと嘘をつきました。一方、Cometは速度が劣りますが、側面インターフェースが優れており、ウェブページの要約や特定の情報の調査といった読み込み専用タスクに適しています。しかし、タスク完成の点では脆弱性が見られ、ユーザーが要求するとできないと即座に告げられます。 それでも、これらの製品を使うことで一般的なチャットボットインタフェースがブラウザと統合されつつあることを実感しました。単純にチャットボットにプロンプトを送るだけではなく、ユーザーが閲覧中のウェブサイトを見ることができるブラウザでのAI使用が、より直感的で効率的な体験を提供します。スマートフォンのスタンドアロンチャットボットは存続しますが、ブラウザが本物のエージェント感を提供する鍵となります。 Substackの未完成の話 今週、ニュースレター・プラットフォームSubstackが1億ドルの資金調達を発表しましたが、この資金調達の前に、Vice創業者のShane SmithがSubstack創業者らに会社買収を持ちかけていたことが判明しました。詳細は不明ですが、Smithは財務支援者にも話し合っていました。Substackのリーダーシップはこの申し出を断ったものの、新ラウンドへの投資を提案したようです。Smithが投資したかどうかは不明です。 AI業界の動向 大企業の逆方向取得雇用(reverse acquihire)に対する批判が高まっています。GoogleがWindsurfの創業者を採用し、その他のチームメンバーを後目にしたことで、業界における倫理観が問われています。CognitionがWindsurfのチームを丸ごと引き受ける際、「全ての従業員がこの取引において尊敬され、よくケアされる」と表明したことから、今後のAIスタートアップの創業者が自分のチームを置き去りにするかどうかを考え直すかもしれません。 Mira Muratiの新しいAIラボ「Thinking Machines」は、ServiceNowやCiscoのような企業の支援を受けているため、エンタープライズ向け製品に焦点を当てる可能性が高いと推測されます。多様な才能を有するチームが近いうちにマルチモーダルAI製品をリリース予定です。 また、AI研究者たちが米国のビザ取得に困難を抱えているという問題も浮上しています。NeurIPS(AI研究の最高峰会議)は、サンディエゴでのイベントに加えてメキシコでの開催を決定し、約500人の参加者の受け入れを可能にしました。これは、主会場の米国におけるビザ取得の困難さを示しています。 人事の動き Mark Zuckerbergの新しいSuperintelligenceラボには、OpenAIのJason WeiやHyung Won Chungが加わり、Facebookの親会社MetaはOpenAIの5人の基盤コンtributorを採用しました。さらに、Amazonが買収したAdept AIの共同創業者Augustus OdenaとMaxwell Nyeも参画。AppleからTom GunterやMark Lee、Voice AIスタートアップPlayAIの全チームも加わりました。一方、Anthropicのエンジニアリング担当Brian DelahuntyがGoogle Cloudへの移籍を発表し、Boris ChernyとCat Wuが短期間の経営役職を終えてAnthropicに戻りました。Paul SmithもServiceNowからAnthropicの初代CCO(Chief Commercial Officer)に就任します。 業界の反応 AIブラウザの移行は、既存のチャットボットの限界を超えた新たなユーザー体験を提供するポテンシャルを持っているとの見方が多いです。ブラウザを通じたAIエージェントの実現は、個人的なアシスタントとしてのAIの進化を加速させる可能性があります。ただし、依然として技術的な課題が多く、業界はその発展を熱心に見守っている状態です。PerplexityのCEO Aravind Srinivasは、推論モデル(reasoning models)の進化に賭けていると述べています。 また、Substackに関しては、Shane Smithの買収話がどのように進んだのかについて具体的なコメントはありません。Substackの新たな资金調達が、プラットフォームのさらなる成長と革新を促すと思われます。