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Kioxia、5TB/64GB/sの高帯域フラッシュモジュールを開発——AIGPU向けにNANDをメモリバスに近づける新技術

9時間前

Kioxiaは、5TB容量・64GB/sの帯域を実現した高帯域フラッシュメモリモジュール「HBF(High Bandwidth Flash)」のプロトタイプを開発した。これは、GPU向けに設計されたNANDフラッシュベースのメモリで、従来のHBM(高帯域メモリ)と比べて8~16倍の容量を実現。AIワークロードに必要な大規模データセットの高速アクセスを可能にしつつ、消費電力も抑えられる。この性能はPCIe 6.0のx16スロットを活用し、理論最大128GB/sの帯域を活かして実現。PAM4信号方式によりデータレートを倍増させつつ、エラー訂正や等化技術で信号の安定性を確保している。 従来のフラッシュストレージは容量重視で速度は低かったが、このプロトタイプは逆転の動きを見せ、1モジュールで5TBの容量と64GB/sの帯域を両立。これは現行のPCIe 5.0 SSD(最大約14GB/s)の4倍以上に相当。特にAIトレーニングやグラフ解析など、ストリーミング型のデータ処理では帯域がレイテンシよりも重要になるため、この特性が大きな意義を持つ。 レイテンシはNANDの本質的な遅延(数十マイクロ秒)により、HBMの数百ナノ秒には及ばないが、強力なプリフェッチとコントローラ内キャッシュにより、順次アクセスの性能を大幅に改善。消費電力は1モジュールあたり40W未満と、従来のSSDよりも効率的。AIデータセンターの電力負荷が増大する中で、ストレージ層での省電力化は不可欠な課題。 さらに、コントローラを直列接続することで、モジュールを増設しても帯域が競合せず、容量と性能が線形にスケール。16モジュールで80TB、1TB/s以上の帯域を実現可能。これにより、ストレージをGPUに近い「近メモリ」環境として配置できる可能性が広がる。 KioxiaはこれまでNVIDIAとの共同研究や、1000万IOPSを想定したXL-Flash開発も進めており、2028年までにフラッシュ需要が約3倍になると予測。今回のプロトタイプは単なる試作ではなく、NANDが「大容量かつ高速」なコンピューティングの中心に位置づけられるという戦略の一部。AIデータセンターの次世代インフラとして、フラッシュがHBMと並ぶ帯域競争の舞台に立つ可能性が高まっている。

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