中米、AIの国際規制で対立 中国は協調呼びかけ、米国は規制緩和へ
5日前
中国は人工知能(AI)の国際的規制を推進する必要性を強調しているが、アメリカはその姿勢とは異なる。2025年上海で開催された世界人工知能会議では、人間型ロボットのボクシングが観客を楽しませたが、実際の対立は中国と米国のAI規制方針にあった。会議のテーマは「AI時代におけるグローバル連携」で、中国の李強首相はAIの進展に対応するための国際機関の設立を呼びかけた。李首相は、各国の規制観や制度に大きな違いがあるため、国際的な協調が重要だと語った。一方、米国のトランプ大統領は会議前日にAIの規制を緩和する「AIアクションプラン」を発表し、AI企業を規制から解放する方針を示した。この政策は米国のAI企業にとって有利だが、国際的な協調が難しくなる可能性もある。AI業界のリーダーたちは、AIが偽情報や格差、さらには人間の制御喪失といったリスクをもたらす可能性を懸念しており、2023年にはOpenAIのサム・アラトマンCEOらがAI規制を求める声明を発表した。UNの技術担当最高責任者ドーレン・ボグダン=マーティン氏も、AIの国際的規制の必要性を強調している。しかし、トランプ政権はアメリカ第一主義を掲げ、国際協力よりも国内の規制緩和に注力している。会議に出席したAIの父と呼ばれるジェフリー・ヒントン氏は、国際協力が難しい現状を指摘しつつも、人間がAIに制御を渡さないという点では世界が一致していると述べた。ただし、現在の米国政府の姿勢では実現が難しいと警告している。