OpenAIがオープンウェイトモデル発表、中国のAI競争に警鐘
OpenAIが「GPT-oss」と呼ばれるオープンウェイトの言語モデル群を発表したことを受け、専門家らは中国がこの動きに警戒し、自らのオープンソースAI開発を加速する可能性を指摘している。同モデルは、トレーニング後のモデルの重み(ウェイト)を公開するもので、誰でも利用可能だが、完全なソースコードは非公開。OpenAIのサム・アルトマンCEOは、X(旧Twitter)で「世界で最も実用的で優れたオープンモデル」と評した。 この発表は、過去5年間、中国がオープンソースAI分野で米国をリードしてきた状況に変化をもたらすとみられている。中国のDeepSeekやアリババのQwen、百度のERNIE 4.5、MoonshotのKimi K2など、多数の高性能モデルが市場に登場しており、特にDeepSeekのV3やR1のリリースは業界に大きな衝撃を与えた。Futurum Groupのレイ・ワン氏は、GPT-ossの発表により「米国と中国のギャップが縮まった」と評価。しかし、中国は依然としてモデル数と多様性でわずかな優位性を保っていると指摘。 Counterpoint Researchのウェイ・スン氏は、中国企業が開発者への影響力とエコシステムの独占を狙い、AlipayやWeChatなど国内プラットフォームと統合したモデルの公開を加速する可能性があると分析。その狙いは、モデル自体の販売ではなく、下流のアプリケーションやサービスでの収益化にある。 専門家らは、米国がオープンAIに本格的に取り組まなければ、中国のモデルが世界的な標準になるリスクがあると警告。アレン研究所のナサニエル・ラムバート氏は、「米国の技術が主導するAIの基準が中国に移行すれば、米国企業は二次的な存在になる」と指摘。Omdiaのリアン・ジェ・スー氏も、中国の動きは単なる技術共有ではなく、米国技術への依存からの脱却と、開発者コミュニティへの影響力強化の戦略だと強調。 一方で、GPT-ossが「完全なオープンソース」ではない点に懐疑的な声も。Counterpointのスン氏は、これは「象徴的な一歩」に過ぎず、実質的なオープンネスには欠けると指摘。また、米国大統領選挙を前に発表されたタイミングから、政治的・PR的意図も強いと分析している。OpenAIはコメントを控えた。