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アート作家のAIクローラー対策に課題:ツールは存在しても使い方がわからない実態

3日前

視覚芸術家たちが生成AIに非同意で作品を収集されるリスクに直面しているが、保護手段を実行できる技術的知識やコントロールはほとんど持っていないことが、カリフォルニア大学サンディエゴ校とシカゴ大学の研究チームによる調査で明らかになった。研究は2025年のインターネット測定会議で発表され、arXivに掲載された。芸術家たちは単に作品の公開可否ではなく、「どのように使われるか」の制御を求めており、これは著作権法では明示されているが、現行のインターネット環境では実現が難しいとされる。 研究チームは203人のアーティストを対象に調査し、約80%がAI学習データへの含まれを防ぐための対策を取っていると回答。そのうち60%が「Glaze」という画像を加工してAI収集を防ぐツールを活用。さらに51%は作品を低解像度でしか公開していない。96%のアーティストがAIクローラーの収集を防ぐツールの利用を望んでいるが、60%以上が最も基本的な手段である「robots.txt」の存在や使い方を知らない。 robots.txtはウェブサイトのルートに設置するテキストファイルで、クローラーのアクセスを制限できるが、法的義務はない。調査では上位10万サイトのうち10%以上がAIクローラーのアクセスを禁止しているが、Vox Mediaやアトランティックなど主要メディアがAI企業とのライセンス契約を結び、禁止を解除したケースも報告された。特に右派系偽情報サイトではAIに誤った情報が学習されるリスクがあると指摘された。 さらに、芸術家の90%以上が第三者プラットフォーム(Squarespaceなど)で作品を公開しており、その多くはrobots.txtの編集が不可能。SquarespaceだけがAIブロッキング機能を提供しているが、利用者はわずか17%にとどまる。クローラーの実際の行動を調べた結果、大手企業のクローラー(Googlebotなど)は大半がrobots.txtを尊重している一方、TikTokのByteDanceが運営するBytespiderは無視していることが判明。また、多くのAIアシスタント用クローラーは「尊重する」と主張しているが、実態は不明。 Cloudflareが提供する「AIボットブロック」機能は5.7%のサイトで利用されているにとどまり、普及はまだ遅れている。研究チームは、技術的対策の透明性(ブロック対象のリスト公開など)の向上を求める。 法的状況も不透明で、米国では「フェアユース」の解釈が争点。EUのAI法では、著作権所有者への許可が義務化されている。研究チームは、法的救済の不確実性が技術的制御への需要をさらに高める可能性を指摘。芸術家の作品を守るためには、技術的対策と法的整備の両面での取り組みが不可欠である。

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